狐面の主人
「…貴方様は…?」
「…喜多方(きたかた)。
名は無い。皆には炎尾(えんび)と呼ばせている。」
炎尾と名乗った男が歩き出すとまた鈴の音が聞こえ始めた。
リン……リン……
それと同時に、周りにポッポと、炎が灯る。
五穂は急にある不安を感じた。
目の前を歩く、新しい主の背を見つめながら、五穂はぽつりとこう言った。
「………あの…。
実は私…女郎としての奉仕を、何も心得ておりません…。
それ故、喜多方様の御期待に添うことは……。」