狐面の主人
「…五穂。」
「…はい?」
もうじき、あの狐の行列に着くという所で、炎尾が五穂を静止させた。
首をかしげる五穂。
すると炎尾は、またその胸の中に、五穂を優しく閉じ込めた。
「…ッ!?」
思わず固まる彼女の髪を撫でながら、静かに囁く。
「……五穂……辛かったなら…泣いて良い…。」
「…え…?」
思えば、五穂は炎尾に再開してから、取り乱す様子も、泣き出すような素振りも見せていない。
それは彼女なりの、炎尾への心遣い。
再開したときは、真っ先に、笑顔で迎えたい。
そう決めていたからだ。