ぼくらの事情

響生に差し出されたお茶碗を仕方無く受け取ったものの、


「……なんで？」


とうとう痺れを切らした絆が、咲奈→架→響生の順に見渡した後ポツリと呟いた。



それで一斉に三人の視線が絆に集まり、


「なんでって……そりゃ」


「ここちゃんのお料理が美味しいからじゃない？ ねぇ響生」


なんて言いながらハハハッて笑い合ってる架と咲奈に、


「おかわりのコトじゃないって」


律儀にツッコむ絆の隣では、


「なぁ、おかわり」


箸の先をガジガジと前歯で噛む響生が、おかわりを持って来いとせがんできた。



「だって、咲奈だけ絆嬢と仲良くすんのズルいじゃん……って響生が」


「言ったのはおまえだろっ」


「ちゃっかりついて来てんだから響生だって一緒だよ」



「澪路さんには許可貰ってるから大丈夫大丈夫」



マイペースにパクパクと料理を口に運び出した二人に、


「なぁ、だからおかわり」



ずっとお預けになってるおかわりを催促してくる響生。



こうなったらもう、なんで咲奈だけじゃなくて架と響生まで加わってるのか、なんてどうでも良くなってくるから不思議だ。