ぼくらの事情
睨み付ける響生の表情に絆の顔が強張った瞬間、
「おまえには……俺の気持ちなんか全然届いてないっ」
苦しげに呟くなり、隣に座った絆に勢い良く覆い被さった。
「ひ、びき?」
突然のことで状況の読めてない絆の瞳が、大きく揺れ始める。
そこに映る響生はただ、ぐっと顔の近付いた絆を食い入るように見つめていた。
「……俺の言った好きは、そんなに軽いのかよっ」
搾り出すように発せられた声が掠れ、更に近付いた響生は絆の髪に顔を埋める。
途端、覆い被さっていた体に一気に重力が掛かり、
「響生っ」
動揺して強張っていた腕に目一杯力を込めて響生を支えた。
のし掛かる体温と首筋にかかる息が熱い。
慌てて支えた体にもう一度呼び掛けようとした時、
「ストップー!!」
「生徒会室で不純異性交遊はマズいでしょっ」
教室に居るはずの幼なじみたちが、何とも絶妙なタイミングで生徒会室に突撃してきた。