ぼくらの事情
「あのまんまだったら響生のせいで絆ちゃんだけじゃなくて、咲奈たちまで退学になるとこだよ。全く……」
「響生くーん……キミの双肩は絆嬢と俺たち二人の命運も担ってるってこと、くれぐれも忘れないでくれるかな~」
玄関で靴を履く響生の左肩に手を掛け、架は目の笑ってない笑顔で圧力をかけまくる。
気に入らないモノは気に入らない。
生粋の坊ちゃまに我慢や忍耐なんて言葉は縁遠く、
いつ自分と周りを道連れにした地雷のスイッチを踏むとも限らない。
ましてや、ミイラ取りがミイラになってみんなで仲良く退学なんて泣くに泣けないし、笑えない。
「うっせぇなぁ。あれはワザとだ」
あえて突き放して、やっぱりわたしが間違ってたごめんなさい……的な展開に持っていくつもりだった。
なんて見栄っ張りな言い訳を、
「へー、あっそう」
「響生にそんな器用なこと出来るワケない」
幼なじみたちは左から右へと受け流している。
「だいたい! 可愛げが無いんだよ。あのアホ女」
「初対面からアホアホ言われて嬉しそうにする女の子が居るワケないだろー」
「そうだよ。響生のニブちん」