ぼくらの事情
モデルの仕事が無い時は出来るだけ家に居て、絆と一緒に過ごしてくれた。
その代わり良いか悪いか、中学に通った記憶は最低限しか無い。
今までロクな学生生活の思い出も無く、
どうせ高校生活も変わらない……。
だったらと、自分も雅や澪路の元で働くコトを望んだが……雅はそれを受け入れてはくれなかった。
目的も見いだせず、ぼんやりと過ごしていた自分の前に思いがけず現れたのが、例の三人。
空っぽだった絆の中に、半ば強引に入り込んでくる厚かましさ。
うんざりしながらも、暑苦しい程他人に構われるコトが新鮮だった。
「……明日の準備しよっ」
明日また、自分が学校に行ったコトを知れば……雅と澪路は褒めてくれるだろうか。
それに、ずっと家に居るよりちょっとは楽しく過ごせるかもしれない。
キッチンに向かった絆は、明日のお弁当のおかずと晩ご飯の献立を楽しそうな顔付きで考え始めた。