ぼくらの事情
「俺が見てきますよ」
怒り覚めやらぬ雅を制止し、澪路はさっさと玄関の方へと足を進めた。
まぁ、小学生くらいなら一言言えば静かにするだろ。
そんな軽い気持ちで開いた玄関の扉の先には、
「…………」
見覚えのある制服を着た、どっからどう見ても高校生三人がギャーギャーと何やら言い合っていた。
ギャーギャーと言い合っていた三人組は、インターフォンのボタンを押す前に開いた玄関の扉に、
「あっ」
気付いた架が差した指に促されて、響生と咲奈もゆっくりと振り返った。
扉が開き切るのとほぼ同じタイミングで、目が合った三人と一人は、
「あっ!?」
「……あっ」
顔を見るなり三人同時に同じ方向を指差し、
「澪路っ!」
「澪路くんっ!!」
「澪路さんっ!」
目をまんまるくして、玄関から現れた澪路を凝視した。
指差された澪路は、一瞬気まずげに響生から目を逸らした後、
「……久しぶりっ」
観念したように顔を上げ、小さく笑って見せるのだった。