逆境があるから生きていられた
違う、誰か苦しみを知って!
信頼してないとかそんなんじゃなくて。詐欺にあったなんて大バカもの、軽蔑されるんじゃないかと思ったら、落ち着くまでは誰にも何にも言えなかった。なんとかしなきゃって、必死で。毎日下りエスカレーターを逆走してる子供のようで。上り続けないと、落ちてく、墜ちてく、おちていく。怖くてたまらなかった。怖い。明日なんか来ないでくれ。今日やんないと明日がわからないってこうゆうことなんだって。働いても、働いても、返済に消える。わたしは、なにをやっているのだろう。バイト先のソファに倒れこみながら、窓の隙間から見える池袋の町をいつもうつろな目で見ていた。
ある日、どうでもいいことで仲のよい友達とけんかした。友達と喧嘩なんて、したことがなかったのに。私の中で友達は唯一の存在で。傷つきやすい友達って知っていたのに、強く言い過ぎた。完璧に八つ当たりだった。毎日顔合わせるはずの友達だったのに、私の前から姿を消した。こんなに溝を感じたのは、生まれて初めてだった。詐欺よりもなによりも、辛かった。自業自得。謝りのメールもなかなか返事が無い。会いたいといってもあってくれない。毎日毎日無き寝入った。笑っていても、何をやってもつらい。おかしくなった。あの頃もう自分をとめられなかった。皆わたしのこと嫌いなんだと思うようになった。そして、やすらぎだった彼氏もふった。こんなやつといてくれること自体が、信じられなくなって。偽りに思えて。
わかれる何日か前、彼氏は両親にあわせてくれていた。彼女をはじめて会わせたらしい。久々家族というものに触れて、幸せだった。こんなに信頼してくれた人を、私は裏切った。つくづく生き方が下手だと思った。取り返しのつかないことした。時よ戻れって思ったのは、始めてかもしれない。思い出が多過ぎたからかな、本当に格好悪い。こんなに泣くなんてガキみたいだと。誰よりも何よりも大事にしてくれていたのは私が一番、知っていたはずなのに。
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