影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

百合

四方手裏剣が飛び交う山林。

私は抜き放った忍者刀でそれを弾きつつ、枝から枝へと飛び移る。

先読みされて、次に飛び移る枝に手裏剣を打ち込まれるものの。

「はっ!」

私はほんの僅かな枝への着地で、地面に落下するのを阻止した。

絶妙な体重移動の妙技。

枝だけが地面に落ち、私自身は次の枝へと飛び移る。

「チッ」

追っ手の舌打ちが聞こえた。

その隙に私は更に次の枝へと跳躍。

同時にその枝を両手で掴み、大車輪の要領で回転しながら、反撃の手裏剣を打つ!

「くっ!」

咄嗟に苦無で手裏剣を弾く追っ手。

その間に私は木の幹を蹴って加速、追っ手へと襲い掛かる!

切っ先を向けた忍者刀!

それを。

「!」

追っ手は苦無の腹で受け止めた。

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