影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
第四幕

信長

甲賀の連中は思いの他に賢明な判断を見せた。

あっさりと我らに白旗を上げ、こちらの要求通り、伊賀の里への侵入路を教える。

正確には侵入路を知っている二人の忍をこちらに差し出した。

甲賀に…ひいては我が軍に寝返った伊賀の隠密二人。

下忍の下っ端だという事だが、それでもこうも度々謀反を企てる者が現れる辺り、どうやら伊賀も一枚岩ではないらしい。

…その二人の下忍に伊賀の里まで案内させる。

確かに、そこに集落は存在した。

こんな人里離れた山奥に、数千人もの人間が暮らす村落があろうとは。

成程、これでは普通の人間には伊賀の隠れ里を見つける事が出来ない訳だ。

「ご苦労だったな」

わしはここまで道案内をした下忍達にねぎらいの言葉をかけた後。

「!!!!!」

部下に命じて斬り捨てさせた。

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