影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
我が軍に寝返ったとはいえ、こやつらもまた伊賀忍者。

信雄に…そしてわしに敗戦を味わわせた忌々しい伊賀者だ。

見逃してやる訳にはいかぬ。

「さて…ものども」

わしは馬上から、追従する軍の兵達に告げる。

「ここより先が伊賀の里だ。我が軍に盾突き、戦で黒星をつけた憎き隠密ども」

わしの言葉を、配下の者達は黙って聞いている。

「信雄も愚息とはいえ、わしの息子だ。奴の受けた屈辱は倍にして返してやりたい。よいか、ものども」

これまで数多の強者を畏怖させてきた両の眼がギラリと光った。

「誰一人として生かしておくな。織田信長に刃向かった者の末路が如何なるものになるのか…伊賀者を利用して天下に知らしめてやるのだ!」

「おぉぉおぉっ!」

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