影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
鬨の声が深夜の山中に響く。

同時に士気が高まる。

里にまで攻め込まれたのは、伊賀者どもとて初めての事だろう。

これまで姑息に敵陣深くに忍び込み、策を弄して小賢しい戦術で勝ちを拾ってきた隠密ども。

今日はわしが直々に真の戦というものを教えてやる。

そして身を以ってわからせてやるのだ。

かくれんぼ紛いの戦いではない、本当の戦いという奴をな。

「全軍突撃!」

わしの声で一斉に兵が駆け出す!

最早わしの声無しに止まる事はない。

男も女も、大人も子供も、容赦なく刀の錆にしてくれよう。

それが戦国の魔王、織田上総介信長に刃向かった報いというものだ。

< 63 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop