影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「よく聞け」

数千の伊賀忍軍。

その先頭に立ち、わしは言う。

「兵の差は圧倒的。しかし我らには長きに渡って培ってきた忍術がある。ただ正面切って戦うしか能のない侍どもには後れなど取らぬ。よいか、この戦、否はうつけの軍にある!自信を持て!信長めの軍の侵略になど屈するな!」

「おおおおおっ!」

数こそ圧倒的不利。

しかしその士気は、織田軍の四万の兵にも劣らぬものがあった。

僅か数千の隠密。

だがその誰もが精鋭。

みすみす犬死などさせはしない…!

「皆の者…武運を祈るぞ…!」

額に鉢金を締め、わしは命ずる。

「散!」

その言葉で、伊賀忍軍はそれぞれに行動に移った。


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