影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「さぁ、うつけ!!」

砦の外に出た頭領以下数十人の隠密達が声を上げる。

「影に生き、闇に逝く定めの伊賀忍軍、その目にしかと焼き付けるがいい!!」

怒号と悲鳴と鬨の声。

壮絶な戦が始まる。

…私達はそれに背を向け、走った。

振り向く事なく走った。

全ては頭領に託された遺志を継ぐ為。

決して死ぬ訳にはいかなかった。





天正九年十月。

伊賀忍軍頭領・百地丹波戦死。

隠密史に残る、見事な最期だった…。

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