COLORS【紫】パープルA
「私が違和感を感じるようになったのは先月の二十歳の誕生日あたりからです」

「違和感……ですか?」
廉はいつものように手帳を取り出し、ペンを片手に聞き込みを開始している。

「いつも誰かにつけられているような気配を感じるんです」

「その不審者と接触、または姿を見たことは?」

「一度だけあります。年は三十歳くらいで背丈は百八十センチくらいの男性、中肉中背でその時は黒いつば付きの帽子を被っていました」

「心あたり、特徴などありましたらお願いします」

「心あたりは全くありません。犯人らしき人物にも一度、それも遠くで見た程度ですので特徴までは……すみません」

熱烈なファンかそれとも怨みを持った人物か、過去に別れた恋人の仕業か……。大方そんなとこだろうけど。
何れにしろまだ徹底的な犯人の手掛かりは掴めていない。

とにかく今日から彼女の家の近くを見張るしかないわね……。

「分かりました!必ず犯人は捕まえてみせますので!お任せ下さい!」

おのれ~ぇ!廉のヤツ!
いつになく自分からやる気満々じゃない。
この間の誘拐犯の時なんて、私にソッコー仕事回してきた癖に。

「私たち『パープルA』にかかれば楽勝ですよ。安心して下さい」

「赤城さん、青山さん……ありがとうございます!」
そう言うと彼女は私と廉の手を軽やかに握ってくれた。
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