COLORS【紫】パープルA
「お待たせ、買ってきたよ!」

「サンキュー」

助手席に乗り込むと再びシートベルトをしめた。

「はい、よくブラックで飲めるわよね」
廉はまずコーヒーを飲む。これもお決まりのパターンだ。

「お前も大分、分かってきたな」

「五年も一緒に居れば……ね」

「コーヒーはブラックが一番おいしいんだよ。コーヒー本来の香りとコクと苦味がよく分かる。ごまかしはきかないからな。お前のようなお子様には分からないだろうけど」

「どうせ私はお子様ですよ~」

彼はカチャとコーヒーの飲み口を開け、一口飲む。

「よし、行くぞ!」


さっきのコンビニから車で三分くらい走っただろうか。
やっと彼女の住んでいるマンションの前に着いた。

怪しまれないように入り口が一望できる、ちょっと離れた場所に車を止め監視することにした。

只今の時刻は午後八時三十二分、四十三秒。

腕時計を見る前に運転席の前にあるガソリンメーターの脇の時計をちらっと見た。
とにかく今日現れるかは分からないけど、根気よく粘るしかないわね。
いつもバックに忍ばせている双眼鏡を取り出すと、辺りを見回す。
今のとこ怪し気な人物は……無しと。

「彼女の部屋何号室だっけ?」

「えっと……確か五〇五号室」
家賃も高いのだろう、入口のオートロックに始まり、至るところに防犯カメラ、二十四時間の人の監視による警備体制……セキュリティは万全に施してある。易々と部屋まではたどり着けない。今のとこは大きな被害はないが、早く犯人を見つけないと大事件に発展する可能性は十分に秘めている。

「これじゃ不審者が建物の中に入るのは無理ね」

「そうだな。マンション内では被害にあってないみたいだし。とにかく今は現れるのを祈って外で張り込むしかないだろう。何か犯人の手がかりとかあればなぁ~」

「明日の午前十時に、彼女の家の中を見せてもらうことになってるから、その時変わったことはなかったか聞いてみましょ」

「だな」

私はさっき買ったばかりのペットボトルのお茶を取り出すと、一気に半分飲み干してやった。
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