死神少女
あれは、あたしがまだ小学生に上がったばかりの春の出来事。


確か、春真っ盛りでポカポカとした並木道を当時仲良しだった雪子ちゃんと歩いている時だった。


「あ…、れ」


何、あれ…?

あたしは目の前を歩くおじいさんの頭上に浮かぶ黄色とも白とも言えない光で輝く玉に釘付けになった。



「どうしたの?愛生ちゃん」


「あれ…、何?」


「なにって、…あのおじいさんがどうかしたの?」


「あれだよ。あのおじいさんのてっぺんにのっかってる光」



あれあれ、と雪子ちゃんに指差してみたら雪子ちゃんは小声で笑い声を零した。


そして小声で囁く。


「こらこら、いくらあのおじいさんの頭がはげてるからってそんな事言ったら可哀想でしょ?」

そういえば、幼いながら芯の通った、気持ちの良い子だった。


話題を変えて喋り出した雪子ちゃんに曖昧に頷きながら、あたしは遠ざかる光の行方を目で追っていた。


あの、、消えそうに儚い光は……いったい何?


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