逢瀬。-あたし達のルール-
「何か用事か?」


努めて冷静に言った。


「久しぶりじゃん、一緒に帰ろうや♪」


高いヒールを鳴らして、心は隣に並んできた。


「俺、お前にだけは二度と会いたくなかってんけどなあ…心。」


かけていたサングラスをシャツにかけて、決して目を合わさずに皮肉る。


「ええやん。渚、まだ心の事好きやんねえ?見え見えやねんで、ばあ-か!」


根拠の無い自信を振りかざして、心は笑いながら渚の肩を思い切り殴った。


「は?頭大丈夫け?一人で帰れ、じゃあな」


吐き捨てるように一言残して、さっさと歩きだす。

後ろの方から心が何か言っているのが聞こえたが、無視した。
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