初彼 -ハツカレ-
このとき、
あたしは何とも思わなかった。
何か考えてる、
何か思ってる部長の表情なんて、
あたしには分からなくて、
だからあたしは
あんなに苦しくなったんだ。
「おかえり」
「ごめんね。混んでて遅れちゃった」
「いいよー」
試合の進行の確認をして
柔軟をして
監督に試合があることを言って
待機の時間の間に
目の前でやっている試合を見ていた。
この人たちは勝ちあがれば当たる。
ちゃんと見ておかないと…。
「足速いね…」
「うん、バランス感覚もいいのかも」
「けっこう…やりづらい相手だね」
「うん…。」
試合も終盤だ…。
軽く柔軟したりアップをして
待っている。
目の前でしている試合の奥には
相手が立っている。
勝ちたいな…。
部長が頑張れって言った。
言われてやる事じゃないけど
頑張らないとな…。
「小泉」
「?」
上から呼ばれて顔を上げると
試合がまだまだなのか
木積くんと檜野くんとか
後輩達が集まっていた。
「忘れ物」
と言ってタオルを投げた。
「わっありがと!!」
「んな物忘れんなよ」
「ははっありがと」