俺様王子と秘密の時間


「……そういえば佐久間くんとはどうなったの?」


あの夏休み以来、佐久間くんの話は全く聞いていなかった。

あたしが聞いたとたん、ハミングしていたはーちゃんがピタリと口を結んだ。



「……別に何もないわよ」

「ほんとぉ?」


はーちゃん……?

なんか急に顔が強張ったような、何かをこらえるようなそんな表情。





「あのね……」
「シイ――――っ!」


せっかくはーちゃんが何か話しだそうとしていたのを、教室に飛び込んで来たコウちゃんがそれを遮った。



「ねえ!シイ?雅弥となんかあったの?」

「え……」


単刀直入に聞かれて言葉に困る。

確かに羽鳥とは今日一言も口をきいていないんだ。

だって……、羽鳥とどんな顔で会えばいいのか、何を話せばいいかわからなかったの。



「今日の雅弥、変だったからさ」


コウちゃんの表情が曇る。

 

< 364 / 511 >

この作品をシェア

pagetop