believe in destiny~絆~


「海」

「あら、春の海!?
ロマンチックね」


「そうかな?
ごちそうさま」


あまり長い間母さんとふたりでいたくない。


足早に自分の部屋に向かった。



部屋の窓を、勢いよく開く。
遠くのほうに、もう散ってしまった桜の木が見えた。
どんなにキレイな桜でも、散ってしまう。
なんだか悲しい。
桜が散るたび、寂しくなるのはどうしてだろう。
こんなに寂しくなってしまうのなら、いっそ桜なんか咲かなくちゃいいんだとも思う。
でもそれはもっと、寂しすぎるのかもしれない。


もうひとつある窓を開けた。
見えるのは、樹里の家。
俺の家と樹里の家はすぐ隣同士にある。


だからといって、いつも樹里の家を見ているわけではないよ!?
さすがにそれはストーカーだからね。


時々、樹里の部屋に明かりがついている間だけ見てみるんだ。
すると、樹里だって俺に気づいてくれる。
それは、樹里も俺を見てるってことなのかな!?

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