NAO



 夕日を見るたびに思い出す…ナオと交わしたキス。マスカットがほんのり香るキス。


 あの日の事を思い出すだけで…頬が緩んでしまう。


 あたしの顔の筋肉が緩んでいる時ーー。


 ブーブーと手に持っていた携帯が鳴った。


 着信をみると…父さんからだった。



 「もしもし…」


 『愛…予約が取れた。海が見えるレストラン。』


 「海が見えるレストラン?」


 『ぅん…7時頃迎えに行く。』



 そう言って父さんは電話を切った。


 その慌てように少し疑問を感じた。それと…。



 「父さんって…古賀さんのマンションの場所は知ってるの?」



 そう呟きながら中に入ったー…。



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