【盲目の天使】番外編

ルシルの瞳は、今までに見たことがないほど大きく見開いていて、

その瞳には、俺の思いつめた顔が、いっぱいに映っている。


「それって、求婚?」


「うん。そのつもりなんだけど・・。

俺は、その・・ルシルのことが、好きなんだ。

だめ、かな・・?」


ルシルはぎゅっと目を瞑ったまま、激しく首を横に振った。


「ルシル?」


「うれしい。

私、私も、マーズレンが好きだから」


ルシルの瞳は大雨だ。激しい洪水が起きたみたいに、ひどい鼻水。


なんか、ルシルだなぁ、って、俺は馬鹿みたいなことを考えて、ふっと微笑んだ。


でも、おれの“ふっ”って息を吐く笑い方が、ルシルの癇に障ったみたいだ。


「なんで笑うのよぉ!」


ルシルは、泣きながら、大きな声で、俺を怒鳴った。

俺は、ますますルシルをいとおしく思った。



あぁ、ルシル。

俺ってば、いつからこんなに君の事を好きになっちゃったんだろう。


< 51 / 90 >

この作品をシェア

pagetop