【盲目の天使】番外編
ルシルの瞳は、今までに見たことがないほど大きく見開いていて、
その瞳には、俺の思いつめた顔が、いっぱいに映っている。
「それって、求婚?」
「うん。そのつもりなんだけど・・。
俺は、その・・ルシルのことが、好きなんだ。
だめ、かな・・?」
ルシルはぎゅっと目を瞑ったまま、激しく首を横に振った。
「ルシル?」
「うれしい。
私、私も、マーズレンが好きだから」
ルシルの瞳は大雨だ。激しい洪水が起きたみたいに、ひどい鼻水。
なんか、ルシルだなぁ、って、俺は馬鹿みたいなことを考えて、ふっと微笑んだ。
でも、おれの“ふっ”って息を吐く笑い方が、ルシルの癇に障ったみたいだ。
「なんで笑うのよぉ!」
ルシルは、泣きながら、大きな声で、俺を怒鳴った。
俺は、ますますルシルをいとおしく思った。
あぁ、ルシル。
俺ってば、いつからこんなに君の事を好きになっちゃったんだろう。