【盲目の天使】番外編
その日は、朝から国中が沸き立っていた。
なんせ、国王の戴冠式と、結婚式が、同時に執り行われるんだ。
威風堂々としたカルレイン様と、その横に寄り添う美しいリリティス様。
そりゃあ、盛り上がらないわけがない。
ノルバス国の王子が、カナン国の王女と政略結婚するのだという噂は、
二人の仲むつまじい様子に、あっという間に消えうせ、
かわりに、ノルバス国の王子は、カナン国の王女に一目ぼれしたという噂が流れるのに、それほど時間はかからなかった。
リリティス様は、長い間幽閉されていたので、民の間で姿を見たことのあるものは少なく、
自分の国の王女(今日からは王妃だ)が、こんなにも見目麗しいのだと知って、人々は熱狂していた。
しかも、疾風の黒鷲と名高いカルレイン様が、ノルバスの王位を弟に譲り、
カナンに婿入りしたとあっては、カルレイン様が、リリティス様にメロメロって話になるのも頷ける。
・・ま、事実なわけだしな。
人目も気にせず、この大事な朝っぱらから、いちゃいちゃしている
(というか、一方的にカルレイン様がリリティス様を困らせているだけだが)
お二人に、俺は目のやり場に困って、隣を向いた。
そこには、俺と同じく顔を赤くしたルシルがいて・・・。
と、思ったら。