【盲目の天使】番外編
そこに立っているのは、まぎれもなく・・。
「母上!」
「カルレイン様。お久しぶりでございます。このたびは、まことにおめで・・」
「あぁ!堅苦しい挨拶はいい。よく来たなオルメ!」
母の祝いの言葉をさえぎり、カルレイン様は、嬉しそうに俺の母を抱き寄せると、俺の方を意味深に見やった。
ん?なんだ?
「では、また後でな。オルメ。アルシオンはどこだ?」
「はい。すでに、謁見の間に通されておいでです。
あなたの部下たちが、部屋においでにならないあなた様を、血相を変えて探し回っておいでですよ」
母の言葉に、カルレイン様は声を上げて笑いながら、立ち去った。
「で?ルシルは元気にしているのですか?」
久しぶりに会ったというのに、俺のことはいいのかよ。
まったく、俺の母なんだかルシルの母なんだかわかりゃしない。
この母を制するなんて、ひょっとしてこの城で最強なんじゃないのか?ルシルってさ。