かっこう
白い家
私の部屋には随分昔からずっと同じ、一枚の写真が部屋に飾ってある。

それは白い家の写真で、映っている庭や垣根は手入れがされておらずひどい有様なのだけれど、その小さな、白い洋風の家だけはまるでドールハウスのように異様な存在感を持っていた。

私はこの写真が大好きだった。

幼い頃からの度重なる引越で私たち親子はたくさんの物を処分してきたが、私はこの写真だけは捨てないと思う。

もう今は、どこにあるのか、まだ存在しているのか、全くわからない白い家。

私とママ、姉の菜弓、そしてきいちゃんと暮らしたあの時。
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