かっこう
きいちゃんが家に帰ってくるのは三回目だった。

きいちゃんは高校卒業と同時に就職し、加賀家から出て行った。

最初の就職先は他県にある焼き菓子を作る工場。

次の就職先は、私たちが今住んでいる町の隣の市にある、運送会社のオペレーター。

三つ目は同じ市内の、わりかし大きめの病院の受付事務員。

きいちゃんはそれらの仕事を辞める度、加賀家へ帰ってくる。

そしてまた新たな仕事を見つけると、お気に入りのボストンバッグを持って旅立っていく。

そして、きいちゃんが加賀家に戻る度、必ず何かが起きた。
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