レモン

7月4日。


携帯が手の中で震えている。


私はその振動に気づいていたが、
アラームだと思って放って置いた。


けれどなかなか止まらない、
いつもなら止まっても良いのに・・・
変だなと思ってようやく体を起こした。


まだぼやけて良く見えない目で携帯を見た、
そこには『俊司』の文字が出ていた。


慌てて通話ボタンを押し、
何度も俊司の名前を呼び確認した。


「小柄?どうかした??」


私の様子がおかしいと思ったのか俊司が聞いた。


「どうもしないよ!!どうかしてるのは俊司のほうじゃん。」


俊司の返事を待たずに私は喋り出していた。


「何で??何してたの昨日??何で携帯繋がらなかったの??」


言いたい事が沢山あったのに、
上手く言葉にならなくて悔しくて泣けてきた。


「何泣いてんだよ。
早くて何言ってんのか全然わかんねぇって。」





俊司の声は何だか明るかった・・・。
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