レモン

その年のクリスマスに、
私は健に結婚を申し込まれた。

私達は来年の夏に結婚する事になった。

健との未来は想像できた。

だから、迷うことはなかった。


その夜、私は1人俊司の指輪をはずし、
健がくれた物をはめた。

俊司に幸せになると誓って。

健はいっそう仕事を頑張るようになった。


年が変わり初詣に出かけた帰り、
私は思い切って言ってみた。

「そろそろ2人で住まない?」

健は待っていたかのように、
とんとんと話を進めてくれた。

実家から少し離れた場所、
健の仕事場からもちょうど良い。

周りには、大き目の公園もあるし、
スーパーもあってわりと便利。

健のセンスは完璧だった。

部屋からは、毎年上がる花火が一望できた。


健は何故か2LDKのマンションを選んだ。

私が広すぎだと言ったら、

「その内、狭くなるから。」

と笑っていた。

2月頃に2人で新居に移った・・・。

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