5人の王子と1人の少女
「俺には昔、大事な奴がいたんだ。」
━…中学3年のとき
俺には、大事な奴がいた。
そいつは滝本夕陽-タキモト ユウヒ-。
中3のとき同じクラスになってよく話すようになっていた。
ある日、
俺は夕陽に告られた。
紅い光が差し込む教室で夕陽は頬を真っ赤に染めながら言ったんだ。
「蓮…
どうしようもなく蓮が好きなの。
あとからあとから好きって気持ちが溢れてくるの…」
どうすればいい?
そう言った夕陽は綺麗だった。
不安に揺れる瞳を反らさずに俺を見つめていた。
俺は迷わず夕陽を抱き締めた。
本能…かな?
今にも瞳から零れ落ちそうな涙を見るとそうする他に無かった。