ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『メイフラワー…』

楓は花を受け取った。

『メイフラワー…花言葉は…純愛…ただひとつの恋…そして…』

楓が花言葉を思い出そうとしていたら、敬大が口を挟んだ。

『そう、花言葉は純愛…ただひとつの恋…そして、あなただけを愛しています』

敬大は楓の目を見つめてハッキリと告げた。

『敬大…』

メイフラワーを握りしめ、感極まった楓の唇は震えていた。

そして敬大は、ポケットから今度はオモチャの指輪を取り出した。

『楓。小学生の頃に楓にあげたくて買ったこの指輪…やっと渡せるよ。受け取ってくれ』

敬大は涙を流す楓に笑顔で言った。

『うん…』

楓は静かに頷いた。

敬大は楓の左手を取り、左手薬指にオモチャの指輪をはめた。

小学生の頃からの思いの詰まったその指輪がはめられた瞬間、ようやく二人の思いが繋がった。

『ずっとずっと…ずーっと一緒にいような楓』

敬大は笑顔でそう言って、楓の頬を伝う涙を両手の親指で拭い去り、そして優しく楓にくちづけをした。

そんな二人をあたたかく、ほほえましくお月様は見届けた。

千年先も色褪せる事のない二人の愛が、今ここにひとつの愛のかたちとして刻まれたのだった。


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