記憶の破片
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っ…!


沖田さん、だ。


やっぱり私の直感は間違ってなんかいなかった。



「誰?」



感極まる私に向けられたのは望んでいた温かい言葉なんかじゃなかった。


冷たい、無関心な声。



「え……私ですよ、沙江です」



背中をいやな汗が伝う。



「知らないけど…どこかで会ったことあった?」



私に向けられる視線は明らかに不審なものを見る視線で。


力が抜けて、握りしめていた服の裾から手を離した。



「…っ覚えてないんですか?」



ドクドクといやな音を立てながら鳴る鼓動。


お願い、思い出して。


私を。


私との約束を。



「なに?知らないし。じゃ、俺はこれで」



そう言って去って行こうとする男の人の服の裾をもう一度握りしめた。



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