記憶の破片
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ペロリとお粥を食べて。


その間、沙知さんはお粥を食べる私を微笑みながら見つめていた。



「あの…」



空になった湯呑みを弄りつつ、私は気になっていたことを聞くことにした。



「なんですか?」



沙知さんはかちゃかちゃとお粥の入っていた土鍋をお盆に乗せている。



「ここ、どこですか?」



さっきまでいた美形も侍みたいな格好してるし。


沙知さんも着物だし。



「ここは、江戸時代末期の京都です。あなたはタイムスリッブしてきたんですよ」



沙知さんは言いづらそうに、でもしっかりとした声で答えてくれた。


タイムスリッブ…。


聞いたことはあるけど、実際にあるなんて思わないし。


まして、自分の身に起こるなんてまったく思っていなかった。



「綾さんは、南女子なのね」



沙知さんがにっこり微笑む。


南女子とは私の通う高校の名前。



「なんでそんなこと…」



沙知さんが江戸時代の人間なら南女子なんて知るはずないのに。



「私も南女子なのよ」



ふふっと沙知さんは私の枕元に畳んであった制服を見つめた。



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