うちのおネコ様

(4)純粋

自分のグラスの中身がもうすぐ無くなりそうになった時、突然テーブルの端っこで私のケータイ電話が鳴った。

「あ、メールだ。誰からだろう?」

私は左の手だけ伸ばして、すっと自分の元に持ってきた。ルディはその姿を見て、先ほどと変わらず穏やかな表情だ。

「あ、可憐だ。。」

『ミコー♪この前はプチ同窓会&合コン楽しかったね。オツカレサマ☆ミコが帰った後1時間位して解散したんだよ。

そうそう!聞いて!山本君と悠子がね、なんと付き合いだしちゃったんだ!』


そこまで読んで、山本君って誰?と私は冷たく突っ込んだ。まさかあの日本語ちゃくちゃ男ではないだろう。黒髪君もそんな名前じゃないしね。

ふーん、という気持ちと、あの悠子が!?という気持ちが混ざって、私はブルーの前で一人ニヤけてしまった。


「何か良いことあったの?」

少し高めの優しい少年の声に私は「いや!何でもないよっ」と、少し顔を赤くして、そしてニヤけた顔を元に戻した。

この年だと、自分の恋愛以外の話でも「話題」にでてしまうと、まるで自分の事のように(もしくはそれ以上に)盛り上がる子がいる。
私もきっと可憐と直接話をしたらそうなったかもしれないけど、今はブルーの前だし、それにおとといの「山本君」がどの子かも分らないので、とりあえず軽く流せた。


可憐の続きのメールに戻る


『あとさ!ミコの連絡先が知りたいっていってる子がいるんだけど、教えてもいいかな?』


私はドキッとした。・・・ドキッってもんじゃない。心臓が「ボンッ」と飛び出そうな勢い。

『大樹君てわかるよね?ミコが帰るって行った後追いかけてった子。一応彼は連絡先教えていいっていうから・・・教えとくね』


じゃあねぇ~♪といって、メールはそこで終わってしまった。。。


これは・・・これはもしかすると、もしかする。


私は今度こそニヤけ始めた顔を元に戻すこともできず、ブルーに「・・・やっぱり何か良い事があったんだね」と言われると、照れと変な感情があふれ出てきてしまい、恥ずかしさのあまりメールを読みえた後も操作をしてるフリをした。


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