うちのおネコ様
きっとブルーが今ネコの姿だったら、私は抱き上げてくしゃくしゃにし、自分のあふれる感情をぶつけまくっていると思う。そして「どうしよう!どうしよう!」とどうしようもない言葉を連呼し、彼を困らせていたことだろう。


さすがに今の彼に向かってそんな事が出来るはずがない。なぜならそんな事して、もし彼に抱きついてしまったらそれこそ色んな「問題」まで生まれ、自分の感情をよりコントロールできなくなってしまうだろうから。

「・・・人間て、色んな出会いもあるのよねぇ。」

私は意味深にみせかけて、ブルーに一言いった。

すると彼は、ああ・・・もしかして、と言い、

「この前のハルの時の子?」とサラリと私に聞いてきた。


私は「!どうして知ってるの!!?」と声が上擦ってしまい、隠したはずの心が一瞬で見透かされたようでものすごく恥ずかしくなった。

「ハルちゃんが言ってた。なんか、美子ちゃんの彼に冷たくしちゃったって」


「彼ってー・・・別にそんなんじゃないんだけど。。」

やっぱり、あのストーカー疑惑の男性はハルだった。と、いう事で、もうこの時点であの男性のストーカーという疑いは晴れたわけだが。

「ハルちゃんてば。多分美子ちゃんが取られると思って、黙っていられなかったんだろうね。」

「え?!あ、ああ・・・そうかもね。アハハ・・・」

私は一瞬、「ハルも私の事を!?」という考えが頭に浮かんだのだが、きっと彼の取られるというのは「飼い主が取られる」という感情だったのだろうと思い直した。


「ま。ボクもちょっと、それを聞いた時、嫉妬したケド・・・ね」


ブルーはちょっと男の子のような顔になって、私を見たような気がした。

・・・いかんいかんっ!またこいつらに振り回されては・・・

私は「何言ってんの!」といって、あんた達はうちの家族で私は溺愛してるんだからっと言おうと思ったが、それは心の中でしか付け足せなかった。


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