Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜




私と同じ
大学一年だという村田さんは
高校の時からここで働いてて
バイトの中では、一番の古株らしい


しばらく三人で話していたら
なんだかあっという間に
休憩は終わってしまった




―――― そして




「ユカ〜!!こっちこっち〜!!」


「ごっ!ごめんユリちゃん!」




金曜、夕暮れ


今日は スタジオに入る日 ―――




「明日休みになったよ!
武藤がシフト、代わってくれた」


「よかったね〜
私も明日は、家の手伝い休み〜
これで思いきり練習出来る〜!」


「うんうん!」


「でも〜」


「うん」


「ヴォーカルのコ
どんなコなんだろうね〜」


ちょっと心配そうな ユリちゃんの顔




バンド、やり始めた頃は
ちゃんとヴォーカルがいたんだ


でもあまり、うまく行かなくって


マキちゃんは前のバンドも
ヴォーカルと上手く行かなかったから
自分のせいかもとか考えたり
他にもなんか、色々とあって…


バンド、解散しちゃうのかなあ…って


ユリちゃんと、シノと三人
海を見ながら 話した時もあった




その後
うちらがプロモに出た影響で
ヴォーカルやりたい人が
結構来てたみたいなんだけど


やっぱりそういうのは
冷やかしみたいな感じとかで


マキちゃんが
『うちのバンドはカラオケじゃない』


そう突っぱねて
全員、追い返したって聞いた




マキちゃんのそういうとこ
なんか、かっこよくて好きだ


だからきっと 大丈夫


マキちゃんが連れてきたいって
自分から言った人なんだから





< 56 / 525 >

この作品をシェア

pagetop