―不可能な共存―
疑惑
「ねぇ、カヅキちゃん。コウスケ、今日休みなの?」



連城ツバキが心配そうにたずねてきた。



「その事なんだけど、気になるだろうし言っておく。コウスケさ、ちょっと事情があってしばらく学校休む事になったんだ。もう休学届も出してある」



クラス中がざわつき始めた。



突然の事に、みんな動揺しているようだ。



「事情って?」



ツバキが追求してきた。



やっぱり理由を知りたがるもんだよな。



どうしよう…。



「家庭の事情だからあんたたちに話す事は出来ないんだ。ごめんね」



もちろん、本当の理由を話すことなど出来ない。



かと言って、テキトーにウソをつく事もあたしには出来なかった。



あたしの表情でなにかを察したのか、生徒たちはそれ以上何も聞こうとはしなかった。



この子達はこんなにいい子たちなのに、他の教師がそれに気がつかない事が不思議でならなかった。
< 166 / 245 >

この作品をシェア

pagetop