―不可能な共存―
ユウリの家は金持ちらしく、ずいぶんと立派なお屋敷だった。



インターホンを押すと、すぐに落ち着いた感じの女性の声が聞こえてきた。



ユウリの母親だろう。



「はい。どちら様でしょうか?」


「夜分にすみません。私、ユウリさんの担任をしております藤嶺と申します。ユウリさんはご在宅でしょうか?」


「少しお待ちください」



インターホンからの声が聞こえなくなると、すぐに玄関のドアが開いた。



出てきたのはユウリではなくユウリの母親であろう女性だった。



「あの、ユウリさんは…?」


「まだ帰ってないんですよ」


「いつもそうなんですか?」


「えぇ」


「そうですか。では、何とか探してみます。見つけましたら家に帰るように伝えておきます」


「宜しくお願いします」


「はい。では失礼します」


「あ、あの」


「何ですか?」


「あの子に用があったんじゃ…」


「いえ。大した事ではないので。失礼します」



あたしは母親に軽く頭を下げてから歩き出した。



母親の視線を背中に感じたが、それ以上は何も言ってこなかった。
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