僕のお姉ちゃん
「え、そんな……」


少し間が空いて


「え!? お姉さんですか!?」


桜野の視線が、俺と姉貴の間で泳いだ。



「はい。姉の、那緒です。はじめまして」



どうして……

あと2年はイギリスにいるはずなのに。


なんでいるんだよ?



「さ、桜野っは」

「……桜野!」

「へ、何? 今名前を……」

「悪い……。今日は、帰ってくれない?」

「え……」

「本当に、ごめん。また今度、誘うから……」



きっと、変だと思ったと思う。

自己紹介くらいさせてくれたっていいのに、って……。


でもなんとなく、姉貴には桜野のことを知られたくなかった。


すぐに帰した理由は、それだけじゃないけど。


だって


(なんで、どうして……っ?なんで姉貴が……)


こんな動揺した状態で、遊ぶなんて無理だ。

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