何処か遠いトコロヘ


両親や兄弟、
祖父母や親戚、
みんなに愛されて育った。


たくさん恋もしたし、
ある程度悪いアソビも覚えた。


だれがみても、
ごく普通の、
幸せな一人の人間だ。

自負している。



でも私は、
満ち足りた気持ちを知らない。


いつも何か欲している。


それに気付いてしまったのだ。


贅沢なのかもしれない。

・・・贅沢。




「消えたい」





ハルシオンは
あるだけだした。

他の睡眠剤も安定剤も全部だした。

アルコールで
流し込めばいいのだ。

料理酒ならあったはずだ。

そしたら
明日は来ない。

同じこともない。

そう思うと笑えてきた。

簡単なことだ。

なんで今まで思いつかなかったのだろう。




「サヨナラ」





薄れてゆく景色の中で、
漠然とつぶやいた。

また笑えた。








なにもうかばなかった。




走馬灯は、
みんなが見るものではないんだな、
と思った。




< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

届かなくても…
LIi/著

総文字数/708

詩・短歌・俳句・川柳5ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop