【短編】お願い、ヴァンパイア様
体の奥底まで響くようなレンの声。
愛を囁かれたら、身体を預けてしまいそうな。
死を導かれたら、闇へと飛び込んでしまいそうな。
だけど、その裏に隠れる深い深いレンの哀しみ。
レンの質問に、あたしはようやく感づいたのだ。
「お前が必要としている『恋の媚薬』………それはヴァンパイアの牙」
わたしの血を弄んだ、レンの牙。
ゴクリと思わず喉を鳴らしてしまう。
「そして、それは俺の命が終わるとき」
真剣なまなざしに、己の情けなさを知る。
たくさんの疑問はあるけれど、レンに偽りなど感じられない。
逃げていたのは、わたしだ。
「お前は、俺の命を捧げるに値するほどの存在なのか?」
答えられなかった。
安易に開いた本のページには、どれを選んでもなにかを失う道しかない。
彼か、恋心か………レンの命。
今更になって、本気で後悔をしはじめていた。
愛を囁かれたら、身体を預けてしまいそうな。
死を導かれたら、闇へと飛び込んでしまいそうな。
だけど、その裏に隠れる深い深いレンの哀しみ。
レンの質問に、あたしはようやく感づいたのだ。
「お前が必要としている『恋の媚薬』………それはヴァンパイアの牙」
わたしの血を弄んだ、レンの牙。
ゴクリと思わず喉を鳴らしてしまう。
「そして、それは俺の命が終わるとき」
真剣なまなざしに、己の情けなさを知る。
たくさんの疑問はあるけれど、レンに偽りなど感じられない。
逃げていたのは、わたしだ。
「お前は、俺の命を捧げるに値するほどの存在なのか?」
答えられなかった。
安易に開いた本のページには、どれを選んでもなにかを失う道しかない。
彼か、恋心か………レンの命。
今更になって、本気で後悔をしはじめていた。