満月の銀色ススキ
望月はお盆というきっかけで帰省した。
そのため、家族は手厚く迎えてくれたのだ。

お盆の支度を終え、食卓に豪奢な料理を広げ。
一家団欒に華を咲かせた。

こんなときにしか帰れない望月の為に。


ふと、人の気配を感じて辺りを見回した。
視界に捉えられる人影はない。


「誰…?」


返事はない。
気のせいだったのかと首を傾げる。

しかし、辺りの空気が微妙に変わっていた。

虫の音が聞こえなくなった。

一度、強い風が草の海を波立たせる。

雲が滑らかに流れ、世界は暗闇に呑み込まれた。

次に月明かりに世界が照らされる頃、引き付けられるように視線を一点に向けた。

そこには、さっきまではなかった人影があった。
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