緑ノ刹那
『……フィリアは、僕の事…嫌いになっただろう?』


『好きだよ』


ディーンの自嘲気味の問いに、フィリアは間髪いれずに即答した。


ディーンが驚いた様に目を見開く。
その間にも、ディーンの躯からは血が流れて。



上から――フィリアの頬から、涙が零れ落ちて、ファイに降った。


『……れは、僕が欲しかっ…た、"好き"じゃないなぁ…』


『うん。
でもね、私にとっては、とっても大切なの。
数万年を生きる私には、貴方達との関わりなんて、本当に些細なものだった。
でも、たぶん――ううん、きっと、絶対、忘れられない思い出。

大好きだよ。ファイ』



始まりは、ほんの小さな事から。


でも、みんなが惹かれ合って


今がある。


やっと、答えがでた。

私は、これからも死ぬ事も無く、独りで生き続ける。


それでも


今でもヒトと関わる事をやめられないのは。


強く強く、どれ程傷つくかわかっていても、手をのばさずにはいられないのは。




『貴方達が、いたから。
だから私は、生きてるの』



フィリアの返答に、ディーンは顔を歪めて笑った。

泣きそうな、笑みだった。



『…ずるい、な……。
それじゃあ…にも言えない…』
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