謝罪人 Kyouko
「島田市長には、次の市長選にも出ていただき当選してもらいたいんです」
中居が、はっきり言った。

「辞職して選挙をするため、なるべく謝罪会見で悪いイメージを島田市長には残したくないため、謝罪人が必要ということですね」

木村が、仕事の内容を確るため、中居に聞いた。

「そうです。確かに島田市長には、助役を抜擢したことは汚点かもしれない。
しかし、今の市長にはそれ以上に、市に利益をもたらした実績がある。こんなことで、市長の職務を退いては困るんです。どうかお願いします」

中居が二人に説明した後、アタッシェケースをテーブルの上に置いた。

「これは、前払いです」
中居は、札束を取り出してテーブルに置いた。

「五百万円です。無事に仕事が成功したら、残りの五百万円はお支払いします」

恭子は、目の前の現金を見て、一瞬、仰天した。

「一千万円の仕事です。かなり、たいへんな仕事ですが、受けてみますか?」
木村が恭子に真剣に聞いた。

恭子は、とまどっていた。
あまりの仕事の大きさに返事が出来なかった。




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