泣き虫Rocker
LIVE-1

些細なことをきっかけに生まれるらしい

イヤホンを通して微かに叫ぶ声が聞こえて、その声に釣られて振り返ったら、見たことない人が立ってた。
どちらさま、と右耳のイヤホンを外して首をかしげた。

「うわー、まさか園田と会えるとは思わなかったし。元気だった?」

馴れ馴れしく、肩を力いっぱい叩くもんだから、ついつい顔をしかめる。

「てか、会いたかったし」

なぁ、と満面の笑みで言われても。こっちは目の前の男が誰かわからないのに、戸惑うしか出来ない。それどころか嫌悪さえ感じ始めるし。
確かに、あたしの名前は園田だから合ってるけど、なんで知らない男があたしの名前を知ってるんだか。

「……園田? あれ、もしかして俺のことわかんない?」

「誰ですか?」

「わー、そのよそよそしい感じっ! 園田じゃねぇよっ!」
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