嘘で隠された現実(リアル)
「おい、天音。何で俺より先に神楽(カグラ)に見せてんだよ?」


「う、歌うのは星なんだから、別に良いでしょっ?」


「曲作ったのは俺だぜ?」


「あら、それなら!曲アレンジするア・タ・シ‥が最初に見るべきでしょ♪」


そう言いながら教室に入って来た人物に、3人が同時に視線を向ける。

そしてこれまた同時に、盛大なため息をついた。


「彗(スイ)‥お前、何で女装してんだよ…?ここ学校だぞ?」


「女子高生姿も可愛いっしょ?1組、次が体育だから、貸してもらったんだよ。せっかくだから、ズラもアレンジしてもらった」


「ズラって…。あのねぇ彗ちゃん、女装は演奏するときだけにして…」


私が呟くようにそう言うと、彗ちゃんはニヤリと笑みを浮かべた。


「天音っち、アタシの方が可愛いからって、ショック受けなくてもいいのよ♪アタシのレベルが高すぎるだけで、天音っちもそれなり‥い、痛ぇ!何すんだよ、瞬輝(シュンキ)!!」

涙目で頭をさすりながら、彗ちゃんは自分の頭を叩いた男を睨み上げた。

「ってか、お前いつの間に来たんだよ!?」
< 17 / 331 >

この作品をシェア

pagetop