嘘で隠された現実(リアル)
「何言ってんだよ。馬鹿じゃねぇ?」

俺は、安心させるように笑った。

「幸矢さんってホント心配性。子どもが出来たら、絶対うざがられちまうぜ?」


「朱月だって、俺の子どもだよ」


俺につられるようにして、幸矢さんも笑う。

だが、その表情はまだどこか苦しそうで、やはり俺には、幸矢さんを安心させてあげることができなかった。


幸矢さんは優しすぎる。

自分のことを二の次にして、俺を優先するくらいのお人好しだ。

俺のことを、実の子の様に、本当に大切に思ってくれている。

だから、幸矢さんだけには、これ以上迷惑を掛けたくなかった。
< 197 / 331 >

この作品をシェア

pagetop