嘘で隠された現実(ﾘｱﾙ)
水月の手術は、アメリカに来てすぐに行われた。

郷花さんの言っていた通り、手術はそれほどの時間も掛からずに無事終了した。

手術が済んで暫くは、まだぎこちない関係が続いていたのだが、郷花さんのおかげもあって、１年も経てば俺と水月の関係は、あの頃に戻っていた。


本当はもう、アメリカに居る理由はなかった。

水月も、日本での就職を考えていたので、「日本に戻ろう」と口煩く言ってきた。

だが、俺は戻るつもりはなかった。

一度帰国したとき、幸矢さんにもそう伝えた。

あのときは、泣き付かれて納得もしてはもらえなかったが、半ば強引にアメリカに戻ったのだ。


抵抗を続ける俺に、漸く諦めた水月は、就職活動を始めるために、日本に帰国した。

それによって、俺は１人大学生活を始めることになった。

だが、それも数ヶ月のことだ。

ある日突然、水月は見慣れないスーツ姿で、俺の目の前に現れた。

就職先が決まったという報告で、その就職先は、ある大手音楽企業。

俺は、その報告に驚いた。
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