吸血鬼達と戯れを
「吸血鬼の中にも人間を嫌う奴もいれば、そうじゃない奴も居るんだよ」

飛びながらジンが言う。

「由井って奴の親を俺は知ってるんだ」
「本当か!?」
「知ってるってもんじゃねえな。彼等が居なければ俺は間違いなく殺されてた。そこを彼等が匿ってくれたのさ」
「なぁ、由井は何処に連れてかれたんだ?」
「洋館さ。後数十分で着く筈だ」

狩野は下を見る。

見てから後悔した。

…見なきゃ良かった。

「なんで由井がそこに居るんだ?」
「理由は簡単さ。本来、吸血鬼と人間は敵対してなきゃいけない存在だ」
「何故だ?」
「…洋館に居る奴らに聞いてみな。きっと真実が分かるさ」

それ以来、何を言ってもジンは答えなかった。
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