空に描く青

「何?」

私は椅子に座る。

そういえば、江鳩くんもこの喧嘩が聞こえていたのかな。

「私、あんな中学嫌いだったんだけど。でもなんか、ぼーっとしてると教室とか涼奈と香と志緒と喋った廊下とか、買い食いした近くのコンビニばっか頭に浮かぶんだ…。」

開いた窓から梅の花の香りがした。

春が近い。

「嫌いな思い出ばっかだったはずなのに…。楽しくて、嬉しかったことばっかし思い出す。」

「美和、いつも笑ってたよね。」

私は言う。

「人を笑わせんのも得意だったけど。笑ってる方が多かった。」

美和は笑った。

「私…間違ったことしたのかな。ただ…また4人で居たかっただけなんだ。」

申し訳なさそうな顔。





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